
更新日 H20.07.14
アスベストはギリシャ語で「消えない」という意味で、火をつけても燃えずに残っていることからこの名前が付いたと言われています。
紀元前4世紀頃には既にランプの芯や火葬用の布に使われ、高い高張力、柔軟性、耐薬品性、電気的な絶縁性及び耐食性などから夢の素材といわれ、世界中で多くの用途に使われ、生活の中に深く入り込んで行きました。
世界のアスベスト生産量は1900年頃から急激に増加し、1970年代後半には550万トンが産出されています。その後アスベストによる健康被害が社会問題となり、生産・使用規制が制定され、1980年には約400万トンに減少しました。しかし、アスベストは工業材料として極めて有用なため、その後も大量に使用されています。

日本で使用されるアスベストのほとんどは海外からの輸入です。1974年の35万トンをピークに1970年代は30万トン前後を推移しています。先進国では1980年代に社会問題からアスベストの使用が減少していますが、日本では1980年代後半まで輸入量が増加しています。そして1990年代に入りようやく減少に転じます。
アスベストの健康被害は、数十年経ってから現れてきます。
上記グラフの表すとおり、潜在的に病気を抱える人が多数いると考えなければなりません。アスベストの対策が遅れているのは長期間を経て自覚症状が現れる為で、このような有害性を「慢性毒素」と言います。よくご存知のダイオキシンなどもこの種類です。
アスベストは無機材料で、天然に産出する鉱物から加工して作られます。
1986年に国際労働機関(ILO)で採択された「アスベストの利用における安全に関する条約」では、次の種類をアスベストと定めています。
@蛇紋岩族群繊維状鉱物性ケイ酸塩鉱物「クリソタイル」(白石綿)
A角閃岩族群繊維状鉱物性ケイ酸塩鉱物
「クロシドライト」(青石綿) 「アモサイト」(茶石綿) 「アンソフィライト」(直閃石)
「トレモライト」(透角閃石) 「アクチノライト」(緑閃石)
尚、ロックウールと呼ばれるアスベストに類似の成分で同様の構造をしている材料がありますが、アスベストのように物理的な刺激は少ないとされています。
アスベストは、耐熱性・耐火性・断熱性・防音性・耐薬品性・耐摩耗性・電気絶縁性などに優れ、1kg当たり100円以下と安価なため、様々な用途に用いられてきました。
その90%は建築建材に使われてきましたが、現在では法律により製造・使用が禁止されていますので、新たに使用されることはありません。
@セメント壁板(窯業系サイディング材など)
A石綿セメント円筒(煙突)
B繊維強化セメント板(工場・倉庫の屋根や外壁)
C防音しっくい(プラスターボード)
D防火扉
Eアスベスト管(水道、ケーブル保護管)
Fパルプセメント板(内装壁材、天井間仕切り材)
G住宅屋根用化粧スレート(カラーベスト)
Hビニール・シート床材
I陶磁器類への配合(窯業系サイディング)
Jアスファルト混合屋根・タイル
これ以外にもあらゆる箇所に使われています。
アスベストがこれほど危惧される最大の要因はその構造にあります。
アスベストは環境中で極めて安定な物質であるという特徴を持っています、つまり、採取から廃棄にいたるまで、ほぼ同じ化学構造をもち、常にリスクがつきまといます。
従って、アスベストのライフサイクル毎に法規制され、其の対策が厳しく義務付けられています。